ファイバーレーザー切断機(FL1390 など CypCut を搭載した機種)で、切り落とした小さな部品がワークテーブルの桟(スラット)の隙間で傾いたり跳ね上がったりして、移動中のレーザーヘッドに当たることがあります。当たるとノズルやセラミックリングが割れ、高さセンサーの異常(画面の「Local capacity small」「Capacitance diminished」)で原点復帰ができなくなることもあります。
これを防ぐ基本の手段が、CypCut の「ジョイント」です。英語表示では「MicroJoint」、一般にはマイクロジョイントやタブと呼ばれます。この記事では、FL1390 の取扱説明書(3-2-15 設定-ジョイント)の画面例を使って、設定の手順をまとめます。
ジョイントとは
切断する線の途中に、切らずに残す短い区間を入れて、部品を母材(スケルトン)につないだまま加工を終える機能です。加工が終わるまで部品は板の中で動かないので、傾き・跳ね上がり・落下が起きません。加工後にジョイント部分を手で折り取って分離します。外形(外型)の線に付けるのが基本で、穴などの内形には通常付けません。
手動で1か所ずつ付ける

- 画面上部の「ホーム」リボンの「設定」グループにある「ジョイント」(アイコンと文字の部分)をクリックします。
- マウスポインタの形が変わります。デザイン画面で、ジョイントを付けたい図形の線の上をクリックします。
- クリックした位置に、切り残し(ジョイント)が付きます。長さは「自動ジョイント」ダイアログの「長さ」の値です。
- 同じ操作を繰り返して、必要な数だけ付けます。終わったら右クリック(または Esc)で解除します。

自動でまとめて付ける(自動ジョイント)
部品が多いときは、「ジョイント」ボタンの右にある▼ →「自動ジョイント」で、まとめて付けられます。ダイアログで次を設定して OK を押します。


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設定 | ジョイント数:1つの図形に「個数」で指定した数を等間隔に付ける/ジョイント間の距離:「距離」ごとに付ける(長い線ほど数が増える。距離にはジョイントの長さを含む) |
| 個数/距離 | 「設定」で選んだ方だけ入力できます。小さな部品なら個数 2〜3 が目安です。 |
| 長さ | ジョイント1か所の長さ(切り残す長さ)。初期値は 2mm。薄板は 0.5〜1mm、厚板は 1〜2mm 程度が目安で、短いほど折り取りやすく、長いほど外れにくくなります。材料で試し切りをして決めてください。 |
| 対象 | 「選択中のオブジェクト」(選んだ図形だけ)か「すべてのオブジェクト」か |
| 開始点は避ける | パスの開始点(リード線が付く位置)にはジョイントを付けない。通常はチェックします。 |
| コーナーは避ける | 角にはジョイントを付けない(角に付くと折り取りにくく、跡も目立つため) |
| 適用サイズ設定(最小/最大) | チェックすると、線の長さが設定値より小さい(または大きい)図形には付けません。小さな穴に付けないときに使います。 |


注意:自動ジョイントは、図形によっては思わぬ位置(はめ合い面や外観面)に付くことがあります。付けたあとは必ず画面で位置を確認し、不要な位置のものは付け直してください。
付いた位置の確認と解除

- 確認:「表示」の「ジョイントを表示」をオンにすると、ジョイントの位置が白い四角で表示されます。
- 解除:図形を選んで「設定」グループの「設定解除」→「ジョイントの削除」で、その図形のジョイントをすべて外せます。
- 分解:「ジョイント」の▼ →「分解」を使うと、ジョイントで区切られた区間ごとに別の図形になります(通常は使いません)。
長さと位置の目安
- 外観に影響しない面、後工程で削る面、曲げや溶接で隠れる位置に付けます。はめ合い部・基準面・シール面には付けません。
- 大きな部品は 1か所ではなく、2〜4か所に分けて付けたほうが安定します。
- 短すぎると加工中の熱で自然に切れ、長すぎると分離に力が要りバリも大きくなります。適正値は板厚・材質・加工条件で変わるので、試し切りで決めます。
加工後の分離
板ごと取り出してから、ジョイント部分を手で折り取るか、ペンチ・ハンマーで切り離します。切断直後は高温で、折り取り時に切り口で手を切りやすいので、軍手・保護手袋を着けて作業してください。折り取った跡はヤスリで均します。
ジョイント以外の対策
- 加工順:切り終えた部品の上をヘッドが通らないよう、跳ね上がりやすい小さな部品を最後に切る順にします(「並び替え」で変更できます)。
- 内形を先に:穴などの内形を切ってから外形を切ります(CypCut の標準の順序です。外形を先に切ると部品が自由になり、位置がずれます)。
- ヘッドの点検:万一当たったときは、ノズル・セラミックリング・ケーブルを点検してから、高さセンサーの校正(静電容量校正)を行います。手順は FL1390 のトラブル解決 の「高さ制御(BCS100)」の節をご覧ください。
関連
- 取扱説明書:FL1390 取扱説明書「3-2-15 設定-ジョイント」(187〜196ページ)、「ジョイントを表示」(112ページ)
- FL1390 トラブル解決(高さ制御 BCS100 のアラームと対処)
- 動画(英語・CypCut の画面操作):Improved microjoints in cypcut.(YouTube・4分)
※ この記事の画面は FL1390(CypCut 日本語表示)の取扱説明書のものです。CypCut の版(CypCutE など)によってボタンの配置や名称が異なる場合があります。