石材印鑑 側面への加工

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です。 前回に引き続き、石の印材にRSD-SUNMAX-UVZH-3Wを使用して加工します。
今回は印面ではなく、印材側面への加工です。

加工の注意点

側面への加工は回転加工機を使用します。回転加工機で印材をつかみ、段階的に回転させながら加工を行います。
加工してみるとわかるのですが、石材を回転加工する場合、チタン印材を回転加工する場合とは異なった設定が必要になります。下記の点に注意して設定を決める必要があります。


① 石材は焦点距離の差に敏感です。そのため、加工する範囲をできるだけ小さくする必要があります。一度に加工する範囲が大きいと、加工範囲内での焦点距離の変化が大きくなり、加工結果には断続的な濃淡が発生します。

石材の場合は、回転加工機の加工設定「分割サイズ」を0.06mm程度に設定する必要があります。これは、一度の回転で加工を行う範囲の幅です。つまり、0.06mmに設定した場合、0.06mmの幅の範囲を加工 → 0.06mmの幅を回転 → 0.06mmの幅の範囲を加工 → 0.06mmの幅を回転 ・・・ という動きで加工します。太い印材は、0.08等のもう少し荒くしても大丈夫だと思いますが、基本的には、微小な刻みで回転させながら加工を行う必要があります。


② 加工位置が印材のセンターに来るように、慎重な位置合わせが必要になります。前記①と同様、焦点距離の変動に対して敏感に反応するため、加工位置がセンターからずれていたり、あるいは印材が微妙に傾いていたりすると、加工の仕上がりに濃淡が発生する場合があります。

③ チタン印材の場合は、加工の繰り返しが一回であってもマーキングすることは可能ですが、石材の場合は、繰り返しが一回だと、細い線が出なかったりかすれたりします。重ね彫りは必須となります。
印材印鑑はチタン印材のような「マーキング」ではなく、「浅い彫刻」が必要になるので繰り返し加工によってある程度の深さを彫る必要があります。

加工結果

Φ15 水晶

加工設定
・加工モード : 回転加工機
・回転加工機の「移動量」: 0.01
・回転加工機の「分割数」: 0.06
・ハッチングの「線の間隔」 : 0.01
・ペンの「繰り返し」 : 2
・加工の繰り返し回数「総計」: 0

加工時間 20分16秒

Φ15 トラ目

加工設定
・加工モード : 回転加工機
・回転加工機の「移動量」: 0.01
・回転加工機の「分割数」: 0.06
・ハッチングの「線の間隔」 : 0.03
・ペンの「繰り返し」 : 5
・加工の繰り返し回数「総計」: 0

加工時間 12分6秒

Φ15 ニューキャッツアイ

加工設定
・加工モード : 回転加工機
・回転加工機の「移動量」: 0.01
・回転加工機の「分割数」: 0.06
・ハッチングの「線の間隔」 : 0.03
・ペンの「繰り返し」 : 5
・加工の繰り返し回数「総計」: 0

加工時間 12分26秒

注記

・水晶は、細い線が出づらかったので、ハッチングの「線の間隔」を細かくしました。そのため繰り返し回数を減らして加工しています。

・同じ加工設定であっても、トラ目とニューキャッツアイの加工時間が若干異なるのは、印材の加工精度により、直径が微妙に異なるためです。