RSD-SUNMAX-UVZHで印鑑作成(石材以外)

 株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です。 今回はRSD-SUNMAX-UVZHを使用して、石材以外の一般的な印材の印鑑が作成できるか確認します。

※ チタン等、金属印材の印鑑については、適切な深さまで彫り込むのに相当な時間がかかると思いますので、ここでは取り上げません。

柘は木材ですので、簡単に彫刻ができます。

黒水牛

柘の2倍の繰返し回数が必要です

牛角

設定は黒水牛と同一です。

※ 動画は、加工中の印面の状況がわかりづらく、フォーカスが不安定になっています。

象牙

象牙の彫刻は非常に困難です。上記の印材とは方法論が異なります。

象牙は上記印材とは異なり、レーザーの当たり具合によって焦げて変色してしまいます。しかも一様に変色するわけではなく、データ内容や、象牙の組成の微妙に違い、そしてレーザーの当て方(焦点距離)によって焦げ方が変わります。

変色は、すすなどの黒い物質が付着しているわけではなく、象牙自体の色が変化しているため、洗浄してもきれいになりません。取り除くには変色部分を削り取る必要があります。
印鑑は変色するとまずいので、焦げないように加工する必要があります。

変色の発生は、ハッチングの「線の間隔」と「加工スピード(または周波数)」の兼ね合いで決まります(前提として、焦点距離が適切であること)。
考え方としては、できるだけレーザーを弱く当て、印材の温度上昇を抑えながらできるだけ早く加工が終わる設定を見つけることです。調査した結果、変色しない条件は、下記の通りでした。

・ハッチングの線の間隔が0.02以上
・ ハッチングの線の間隔の設定が「0.02」の場合、ペンのスピードは「500」程度(周波数は20KHz)

というわけで、 ハッチングの線の間隔が「0.02」 、 ペンのスピードは「500」 という設定で、変色させずに加工できることがわかったわけですが、基本的にはレーザーを弱く当てるという方法ですので、繰返し回数を増やして、少しずつ深く彫っていく必要があります。

象牙自体はかなり固い加工素材です。弱く当てた場合、焦点距離の微妙なズレで、回数を重ねても、ほとんど彫り進められない状態になってしまいます。
そのため、加工中に何度も焦点距離を微調整して、適切な加工を維持し続ける必要があります。しかし弱くレーザーを当てるため、レーザースポットの反応の変化が曖昧で、加工中に適切な焦点位置を探り当て、調整するのは難しい作業となります。

したがって、適当な重ね彫り回数を決められず、印面の状態を確認しながら随時加工回数を増減させる必要があります。

下の動画では、縦走査と横走査をそれぞれ50回ずつ繰り返し加工を行うの1セットとして、5セット加工します。走査の回数は、縦横250回ずつ、計500回走査します。
縦走査と横走査を交互に繰り返すのは、横または縦のみの走査だと、細微な印影の場合、細い縦溝や横溝が全く彫れていない症状が発生するため、走査の向きを変更して全体的に適切に彫れるようにするためです。

動画のφ18 の象牙印材の例では、印鑑にふさわしい深さまで彫るには2時間半弱の加工が必要になります。これぐらい時間を掛けて加工すると、変色せず、アイボリー色を保っています。

変色はしませんが、仕上がりは良くありません。彫刻面を見てみると、平らではなく、象牙の筋に沿って凹凸ができてしまいます。これは象牙の固さが均質ではないため発生すると考えられます。この凹凸を改善できる手立ては見つかっていません。


どうしても製品レベル品質の象牙印鑑を作りたいならば、Co2レーザー機で象牙印鑑を作る場合のように、マスキングテープを貼って彫刻し、最終的にサンドブラストで処理するぐらいしか手が無いと思われます。

いずれにしても、時間と手間(焦点距離の微調整)がかかり、また仕上がりも良くないので、製品としての象牙の印鑑を製作するのは現実的ではないと思います。