風景写真 その3

株式会社リンシュンドウのスタッフの岡本です。
風景写真 その2」の続きです。

今回は、「風景写真 その2」でわかった、「加工結果の階調表現がうまくできていないのに、より写真に近く見える」件について検討します。

今回使用するのは、風景写真とは異なり、人物画像です。オバマ大統領の公式写真を使用して加工してみます。
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誰もが顔を知っている人物であり、また背景がシンプルな場合、写真彫刻はかなり容易にできます。加工設定が多少ずれていたとしても、それなりのものが仕上がります。

結果写真
・結果写真は無加工です。
・写真をクリックすると原寸写真が開きます。
・木板のため木目や傷などの影響があり、色が場所によって違っています。
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左側が、従来の画像の網化の方法でデータを作成し加工したものです。
右側が、「参考資料 風景写真の加工」の方法でデータを作成し、加工しています。

原寸写真で比較するとよく分かりますが、国旗、スーツの襟、ネクタイなどのディテールは、右側の方が階調表現に優れ、明らかに良く表現されています。
・・・しかし全体の印象は、左側の方がより写真に近く見えますね!

顔の印象がかなり違います。左側は目鼻立ちがしっかりしていて、オバマ大統領であることは一目瞭然です。
対して右側は、肌全体に色が乗っていて、顔のパーツが曖昧になっています。目力が伝わらず、オバマ大統領であることすら疑わしい仕上がりです。

レーザー加工の表現力の観点から見れば、右側の方が優れていますが、加工結果・加工品質で考えれば、明らかに左側が勝っています。
「オバマ大統領の人物写真のレーザー加工」としては、右側は失敗だ、ということになります。
アクリルでも同じ比較をしてみます。加工設定は上の木板とあえて同一設定にします。
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※ アクリル板に写真彫刻したものは、うまく撮影できません。実物は、上の写真の印象よりも、より写真に近い感じになっています。

左側の従来の画像の網化の場合、ネクタイのした彫られていません。しかしスーツの襟は潰れてしまっていて見分けが付きません。

対して右側の、「参考資料 風景写真の加工」の方法でデータを作成したものは、ネクタイもちゃんと彫れていますし、スーツの襟も完全ではないですが、判別可能になっています。
しかしアクリル板でも、顔はやはり左側の方が良いです。右側はのっぺらぼうに近い状態で、表情が判別できません。

風景写真 その4」に続きます